愛媛県松山市朝生田町一丁目3番10号
2022年11月より愛媛大学先進呼吸器外科学講座 佐野由文教授の赴任に伴い、呼吸器センターを開設する運びとなりました。
センターには常勤の巻幡 聰医師(呼吸器外科)に、佐野由文医師(呼吸器外科)が加わり、様々な呼吸器疾患の診断、治療とともに、様々な胸部の手術も可能となりました。
また、放射線診断・IVR科(放射線科)の田中宏明部長が赴任、今まで愛媛大学付属病院および県内の多数の関連病院において、非常に多くのインターベンション治療(IVR治療)・画像下治療(放射線カテーテル治療やCTガイド下治療など)を経験しており、県内でも指導的立場として高難度の治療を提供しています。当院においても呼吸器部門として肺野縦隔の腫瘍に対するCTガイド下生検による確定診断や、肺動静脈ろう・慢性喀血症のカテーテル治療、肺癌を焼いて治すラジオ波焼灼術等の様々な先進医療も可能となります。
内科部門では、週1日土曜日に呼吸器内科の専門医による専門外来が開設されており、それ以外の曜日には、巻幡および佐野が担当します。さらに、当センター最大の特徴は、愛媛大学附属病院呼吸器センターとの非常に強いつながりを形成している点です。当センターは、「愛媛大学附属病院呼吸器センターのサテライトセンター」としての役割を持って開設されたため、当センターで診断や治療に難渋するような症例は、即座に「愛媛大学附属病院呼吸器センター」に送ることができ、また愛媛大学で落ち着いた症例は、ご家族の利便性なども考え、当院に送り返して引き続き加療するといった、シームレスにリンクした診療体制が形成されています。
「愛媛大学附属病院」は、県内随一の診療科、医療スタッフ、設備を有しており、最先端の医療を受けることが可能です。特に「呼吸器センター」は、最高の医療レベルを有する呼吸器内科、呼吸器外科に加え、腫瘍内科、放射線科も一緒になって最高の医療を提供することが可能になっています。したがって、「南松山病院呼吸器センター」と、「愛媛大学附属病院呼吸器センター」がタッグを組むことによって、重症呼吸器疾患に関しても、心配のない診療体制が作られているといえます。
初診時は、かかりつけ医(定期的な通院や主な処方をしていただいている医療機関)からのご紹介が望ましいですが、かかりつけ医がなくても外来診療は可能です。保険証をご持参いただき、初診受付にて手続きください。かかりつけ医からの紹介状(診療情報提供書)をお持ちの方は、初診受付時に保険証とあわせてご提出願います。尚、初診時の予約は不要ですが、事前にホームページなどで外来診療日をご確認いただきますよう、お願いいたします。
近年、高齢化社会や生活環境、生活習慣の変化等に伴って、呼吸器に関連する疾患は増加の一途をたどっています。特に問題となっているのは「肺がん」で、現在日本人の死因の第一位である「悪性新生物(がん)」の中で最も多いのが「肺がん」です。当呼吸器外科部門では、まずこの最大ともいえる難敵である「肺がん」を、愛媛大学附属病院呼吸器外科とタイアップして、診断から最新医療までスムーズに行えるシステムを作りました。
せき、たん、血たん、胸・背中・肩の痛み、呼吸困難、胸部違和感、倦怠感、体重減少などの症状がある方、または症状がなくても健康診断や胸部レントゲン、CTなどで異常を指摘された方が対象になります。
呼吸器外科手術は、胸腔鏡という内視鏡を用いて行われることが多く、当院でも上記疾患に対して、治療及び診断目的に胸腔鏡を用いて可能な限り低侵襲手術に努め、入院期間の短縮を目指します。また、高齢者や合併疾患を持たれている患者様、以前に手術を行っておられる患者様などに対して、胸腔鏡に加え、縮小手術(切除範囲を少なくすることによって侵襲を少なく、機能を温存する)を積極的に取り入れることによって、より体に優しい手術、治療を心がけ、実践しています。
8-9割以上の方に胸腔鏡を使用し、3-5cm1ヶ所と1cm2ヶ所の皮膚切開で肺切除を行います。高齢化社会を反映し、70~80歳でみつかる肺がんも多いですが、低侵襲手術は高齢者でも比較的安心して治療が受けられます。また、入院中は呼吸療法理学療法士を中心とした呼吸リハビリテーションに取り組んでいます。入院日数は、合併症なく順調に経過すれば術後5~7日以内を目標としておりますが、術後の症状、不安、ご家族の送迎の都合などで、ご希望があれば2週間程度入院いただいております。
まずは手術が最適か判断した後、手術症例については、ほぼ全例胸腔鏡手術を行います。5~10mmの皮膚切開を3ヶ所行って、細い胸腔鏡を使用します。胸部に残る創を最小限にするため、2.5cm程度の創一箇所のみで手術を行う最新式の「単孔式胸腔鏡下手術」も積極的に行っております。手術時間1時間程度、入院日数は肺がん手術よりは短く、術後4-5日以内を目標とします。術後1-2日で退院とする施設もありますが、痛み、創の処置、合併症などをしっかりと観察するうえで早すぎる退院はおすすめしておりません。
南松山病院の呼吸器外科部門は、愛媛大学附属病院「呼吸器センター」と完全にリンクした新しいコンセプトの「呼吸器センター」として開設されており、今までの医療システムと異なり、この二つの施設間はほぼシームレスにつながるシステムとなっております。つまり、進行した症例、高難度手術、基礎疾患でリスクの高い方などについては、愛媛大学病院で手術を行ったり、外科医師の援助のもと、安全に手術を行うことができるようになっています。術後、当院に転院してリハビリテーションを継続することも可能です。また、大学病院以外の高次施設や基幹施設とも連携して診療をすすめ、必要であれば紹介や、さらに術後の療養や経過観察についても協力していきます。
現または元喫煙者や、せき、胸の痛み、息切れなどの症状で肺がんの心配をされており、検査を受けたことがない方には、胸部CT検査をおすすめいたします。早期のがんはレントゲンではわからないことも多く、他の理由で撮影されたCTでたまたま発見されたケースも珍しくありません。また、定期的にCT検査を受けたい方には、放射線量をおとした低線量CTを行い、総被ばく線量を抑制するように努めています。
呼吸器内科は、外来診療が受けられます。肺癌、肺気腫(COPD)、呼吸器感染症、気管支喘息、間質性肺炎、慢性咳嗽などの疾患の診療に当たっておりますので、受診希望される方は外来にご相談ください。
巻幡 聰
呼吸器外科部長
平成5年卒
医学博士
佐野由文
昭和60年卒
医学博士