愛媛県松山市朝生田町一丁目3番10号
放射線部は現在、放射線診断専門医・IVR専門医1名をはじめ、診療放射線技師6名、看護師1名、事務員1名から成り、CTやMRIなど様々な医療機器を用いて得られた生体情報を画像化して診療の場へ提供する業務を行っています。またインターベンショナルラジオロジー(IVR治療)による治療法を積極的に導入しています。
2012年の新棟移転に伴い多くの最新鋭装置を導入し、2022年にはCTおよびMRIの最新機器更新およびバージョンアップにて最新医療に対応しています。
インターベンショナルラジオロジー(IVR治療)・放射線カテーテル治療とは血管造影装置、コンピュータ断層撮影装置(CT)、超音波断層診断装置(US)などの画像診断装置にて体内臓器を確認しながら、細い医療器具(カテーテルや針)を進めて病気の治療を行う治療法です。従来の外科治療法と異なり腹部や胸部を切開しないために体への負担が圧倒的に少ないという特徴があります。また、医療器具を入れる穴も数ミリ程度と小さく、処置後の傷もほとんど残りません。日本でも80年代より急速に広がり現代医療で欠かせない治療法となっています。
当院では透析専門医および日本IVR学会専門医が在籍しており、透析関連において透析シャント不全(自己血管、人工血管)に対するバルーン拡張術(PTA)による治療法を積極的に施行し、県内でも豊富な治療経験数を有する施設となっています。造影剤アレルギーのある方は超音波ガイド下(US)で施行しており副作用の心配はありません。最近では透析シャントの開存率の向上を目的とした最新治療法を積極的に導入しています。自己血管シャント頻回狭窄に対しては、薬剤コーティングバルーンカテーテルを併用しバルーンに塗布された薬剤(パクリタキセル)をバルーン拡張により血管壁に付着させ、再狭窄を抑制する治療法を選択しています。国際共同治験(IN.PACT AV Access試験)において良好な成績が得られ、薬剤コーティングバルーンを用いることで再狭窄を抑制する効果が期待されております。人工血管シャント静脈吻合部狭窄に対しては標準的なバルーン拡張術(PTA)でも頻回狭窄する場合には、人工血管内から正常血管内までステントグラフト留置を選択し再狭窄予防を行っています。国際共同治験(Gore REVISE試験)にて良好な成績が得られ、開存率向上が確認されています。
代表的な疾患では肺腫瘍に対するCTガイド下生検での組織診断、肺動脈脈瘻(肺動静脈奇形)では手術と同等である金属コイル塞栓術を施行しています。当院では呼吸器センターと共同で検査・治療を行っています。
肺動静脈瘻(肺動静脈奇形)は肺に血液を送る肺動脈と肺から血液を送り出す肺静脈が異常な血管で直接吻合する病気で、息切れなどの低酸素血症、肺出血、脳梗塞、脳膿瘍などの原因となり、血管径が2-3mmであると積極的な治療が必要となります。遺伝的要因で家族内発生することもあります。最近では手術よりもIVR治療による金属コイルにて異常血管を塞栓する(詰める)治療法が標準となっています。
代表的な疾患としては肝癌に対する化学塞栓療法(TACE)、腹部内臓動脈瘤に対する金属コイル塞栓術等を施行しています。腹部内臓動脈瘤はCTや超音波検査にて偶然に発見されることの多い病気です。動脈硬化や線維筋異形成症などに合併しやすく、脾動脈や肝動脈、腎動脈、膵動脈に多く見られます。症状(出血、圧迫症状)がないことも多いですが、妊娠可能年齢や瘤径増大するもの、サイズが大きいもの(一般的に2-3cm以上)は治療対症となります。外科手術よりもIVR治療によるコイル塞栓術やステントグラフト治療が有効です。膵動脈では破裂の危険性が高いために大きさに関係なく発見した時点で治療考慮することがあります。
下肢末梢血管では動脈硬化による狭窄・閉塞が多く、跛行(短距離での歩行障害)や虚血(指趾疼痛・壊死)の症状があればIVR治療(血管拡張術)を施行します。IVR治療が不適の場合にはバイパス術も考慮します。特に透析患者は症状が重篤になりやすいので定期的な検査や経過観察が必要です。
IVR治療に関しては、日本IVR学会専門医にお問い合わせください。
(2016.6月現在)
ご不明な点がございましたら 放射線科受付 (089) 934-8742 まで
乳がん検診予約(089)941-8255(代表)まで
田中 宏明
部長